アレン・ネルソン奨学金（アレン・ネルソン基金沖縄の会）

毎日新聞（北陸発）　2013年5月25日
 
半生紹介ＤＶＤ加賀であす上映
９条は道示す　元米兵の叫び　どんな兵器より強い

制作グループ代表の寺住職　「日本人が意義再認識を」

　ベトナム戦争の従軍経験をもとに平和の大切さを訴え続け、二〇〇九年に六十一歳で亡くなった米国人アレン・ネルソンさんの半生やメッセージを紹介するＤＶＤが完成した。全国の有志でつくるグループ「アレン・ネルソン平和プロジェクト」が二年がかりで作った。完成試写会が二十六日午後一時半から、プロジェクト代表の佐野明弘さん（５５）が住職を務める石川県加賀市山田町の浄土真宗寺院光闡坊（こうせんぼう）で開かれる。（服部展和）

　ネルソンさんは十八歳で米海兵隊に入隊し、ベトナム戦争を経験。戦地での体験が原因で心的外傷後ストレス障害（ＰＴＳＤ）に苦しみ、長期の治療を経て回復した。一九九六年に初来日した際、日本国憲法の英文冊子で「戦争の放棄」などを掲げる九条を読み「私たちの生きるべき道を示している」と衝撃を受けた。以来、国内で千回以上講演し、平和や憲法九条の重要性を訴えた。

　ＤＶＤ「９条を抱きしめて－元米海兵隊員アレン・ネルソンが語る戦争と平和」は、ネルソンさんが講演会で語る様子や、政治学者ダグラス・ラミスさんとの対談などで構成。ネルソンさんの体験を描いた漫画「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか？」のコマを交え、半生をたどっている。「憲法九条はいかなる核兵器よりもいかなる軍隊よりも強力だ」「平和は国や国連がつくるものではない。この部屋にいる私たち一人一人から始まる」。ＤＶＤのネルソンさんは呼び掛ける。

　佐野さんは、二〇〇四年にネルソンさんと出会って以来、親交を深め、「心の師」と仰いだ。生前のネルソンさんの希望で遺骨は光闡坊に納められ、ゆかりの地でのＤＶＤのお披露目となった。

　佐野さんは「戦争の苦しみも悲しみも知っているからこそ、彼は憲法九条の本当の意味を理解していた。私たちも再認識するべきだ」と話す。一枚千円（制作支援金）で配布する。試写会は無料。問い合わせは光闡坊＝電０７６１（７４）０５０８＝へ。


写真：ネルソンさんの写真を手に、憲法９条の大切さを語る佐野住職＝石川県加賀市で